「I」のない名前
本展では、焼津をテーマに制作した作品を展示している。
焼津とその周辺に実在するホテルを描いた油彩作品には、本来その名前に含まれているはずの「I」の文字が描かれていない。「I」は英語で「私」を意味し、「愛(AI)」とも読める文字である。そこに欠けているものは「我」なのか、「愛」なのか、あるいは別の何かなのか。
Love(SEPIA)/Love(Marine City)
Love(プリンセス)/Love(CRESPA)/Love(La Grange)/Love(EMPEROR)
モノクロの作品は、もともとホテル名に「I」が存在しない場所を描いている。「I」がないという共通点から、色彩を取り除き、モノクロ作品としている。
Name of Love Hotels
階段の一段ごとに、「I」の抜け落ちたホテルの名前を並べたシートカット作品。上りながら、あるいは下りながら、欠けた文字の連なりを読むことになる。
Love Song
白と黒の絵具だけを厚く塗り重ねた一点。名前を読み取ることはできず、色も、かたちも失われている。それでも画面には、うねるような筆の跡だけが残っている。
Hooks
自分の中に引っ掛かった言葉を、陶器製のハンガーフックに描いている。物理的な「フック」と心理的な「引っ掛かり」を合わせ、「言葉の引っ掛かり」という作品としている。
Flag
「HERE IS THE CENTER OF THE UNIVERSE(ここが宇宙の中心)」という言葉を掲げた旗。どこへ行っても、その場所はその人にとっての「中心」である。中心とは特別な場所ではなく、自分が今ここに存在しているということなのかもしれない。
Love -center of the universe
焼津を題材につくられた曲の歌詞を掲げたタペストリー。併記されたQRコードから、実際に曲を聴くことができる。
TUNA/BONITO
トイレの入口に掲げられた2点。焼津の海を代表する2つの魚の名が、そのまま男性用・女性用の目印となっている。その先の空間には、部屋ごとに「Love is beautiful」「The world needs you」といった言葉が置かれている。
ー展覧会タイトルについてー
「障子の穴」は、日本の昔話に由来している。
お殿様から「欲しいものを何でも与えよう」と言われた農民は、「障子の穴から見えるものを全部ください」と答え、自ら障子に小さな穴を開ける。その小さな穴の先には、広大な土地が広がっていた。
ほんの小さな穴からでも、その先には広い景色が広がっている。本展もまた、その先にある広い景色を想像してもらえたらと思う。




小粥 幸臣 Yukiomi OGAI
1987年 愛知県生まれ
2009年 名古屋造形大学美術学科彫刻コース卒業
主な個展
2010年〜2015年 (☆Star gallery / 愛知)
主なグループ展
2022年 SPACE WITHOUT BOUNDARIES – Wriring and Movement(Hebel_121 / バーゼル)
2019年 蚊帳の外 Kaya no Soto(Out of the loop)(Hebel_121 / バーゼル)
2018年 Anagama Project 2018(小牧市民交流館 / 愛知)
2017年 Art Obulist 2017 Art Obu Art / Little Vehicle(大倉公園休憩棟 / 愛知)
2016年 Little Vehicle 2016(Botao Gallery / 愛知)
Website:過去の作品
Instagram:yukiomiogai
Supported by:翠川豊 / HIRAKU&FUSION
Presented by:SHIDA Art Collective & Cultural Commons
